「ヒウィッヒヒー」商標騒動と商標制度の認識度
昨日(8月12日),商標に関してちょっとした騒動がありました。きっかけとなったのはこのニュース記事です。なお,このニュースは,記事の最後に書かれているとおり,結局誤報であると発表されました。
【トレビアン】広瀬香美が『ヒウィッヒヒー』を商標登録 「使わないでくれ」?
今回触れたいのは,誤報だったということではなく(それはそれで問題ですが),商標制度が一般の人に正しく知られていないという点です。
昨日このニュースが公開された直後から,ネット上でいろんな書き込みがされました。たとえばこんな感じです。
商標 since:2009-08-12 - Twitter Search
広瀬香美「『ヒウィッヒヒー』は商標登録したから、勝手に使うなよ庶民ども」
どうして商標をとるのか,結局金儲けか,ひどい,という様な内容の書き込みがたくさんあります。商標制度はかなり嫌われているようです。
なぜこんなに嫌われているのか?
嫌われている理由のひとつが,商標制度に対する誤解だと思います。誰かが商標を取ると,もうその言葉を全く使うことができなくなると誤解している人がいます。区分が違えば使ってもいいとかそういうレベルではなくて,許可無くその言葉をブログに書いたり話したりすることさえできなくなると誤解しているのです。商標は商品等に対して使用するものであるという認識がないのです。この誤解は,「のまネコ」や「阪神優勝」,「NPO」など,これまで何度も繰り返されてきました。
この誤解に加えて,商標をとって独占することに対する嫌悪感もあるようです。特に今回のようにネット上で話題になったものについては,嫌悪感をもたれることが多いようです。みんなで作った,みんなで盛り上げた,という意識があるのかもしれません。「のまネコ」もそうでした。(8/15訂正)他人に取られたらビジネスで使えなくなってしまうので出願しておく,などといった事情は理解されていません。
商標制度を誤解している人は多く,そして誤解は繰り返されています。この誤解は解消したい。嫌悪感も同じです。これを改善できるのは誰でしょうか?。 特許庁なのか? 弁理士会なのか? 発明協会なのか?。いずれにしても,商標制度を知っている人にしかできません。それぞれの立場でそれぞれができることをやっていくといいのかもしれません。ブログに書くとか顧客に話すとか。
ところで,この騒動が起こっている間,私は都内で知財系飲み会を開催していて,企業の知財担当者や弁理士,大学の先生らと飲んでいました。従って,残念ながらリアルタイムで騒動を感じることができませんでした。もし騒動が起きているときにネットにいて上のニュースを見たら,こうつぶやいたはずです。
「こんなにすぐに登録されるはずはない。何かが間違ってる」
なぜなら「ヒウィッヒヒー」が生まれたのは7月22日なのです。
決定!twitterの源氏名は、、、、、ヒウィッヒヒー に、決定!
【8/14追記】
上述した誤解されがちな点などについて,一般の人を対象にわかりやすく書かれている記事。全ての人に読んでもらいたい記事です。
【保存版】商標制度に関する基本の基本 | 栗ブログ
【8/15追記】
「のまネコ」騒動と「ヒウィッヒヒー」騒動には大きな相違点がありますね。「ヒウィッヒヒー」が広瀬香美によって作られたものであることについて争いはありませんが,「のまネコ」騒動では,ネット上で生まれたモナー等の著作権をエイベックスらが侵害しているのではないか(エイベックスは当初「インスパイヤされた」と表現していた)という点が大きな争点でした。この点で「ヒウィッヒヒー」騒動とは異なります。なお,当時,「のまネコ」が商標登録されるとモナー等のアスキーアートを掲示板で使用できなくなってしまうという書き込みが多数ありましたが,これは商標制度の誤解によるものです。
※関連リンク
★パテントサロン★ トピック 商標出願問題 -のまネコ,ギコ猫,青森,NPO・ボランティア,阪神優勝-
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