民主党マニフェストに出てくる知的財産
民主党がマニフェストを公開しました。知的財産に関連する記載はあるでしょうか?
民主党 web-site
民主党 web-site 民主党の政権政策Manifesto2009
マニフェストの中に知的財産に関連する記載が1ヶ所ありました。
○アジア・太平洋諸国をはじめとして、世界の国々との投資・労働や知的財産など広い分野を含む経済連携協定(EPA)、自由貿易協定(FTA)の締結を積極的に推進する。(23ページ。←PDFファイルでは12ページ右側欄になります(8月3日追記))他に知財に言及している記述はなさそうです。
今回民主党は「国民の生活が第一。」という言葉を掲げています。税金のムダづかいを無くし,子育て・教育、年金・医療、地域主権、雇用・経済に集中的に使っていくと述べています。このような考え方の下では,知的財産がマニフェストで大きく取り上げられることは難しいかもしれません。
ところで,民主党はマニフェストの他に民主党政策集を公開しています。
この政策集とマニフェストの関係について,以下のような記事がありました。
【09衆院選】民主マニフェスト 政策集に比べ“左派”色控えめ政策集に書かれているものは党としての政策ではあるけれど今回の選挙で約束するものではない,という位置づけなのでしょうか。
「われわれが選挙で国民に示して約束するのはマニフェストであり、政策集は公約ではない」
民主党の政調幹部はこう強調する。
この政策集の方にはいくつか知財に関する記述があります。以下,政策集からの引用です。
インターネットを用いたコンテンツの2次利用促進
過去に放送されたテレビ番組(コンテンツ)をインターネットで2次利用する場合には、すべての権利者から許諾を得なければならず、2次利用はなかなか進んでいません。インターネット上でのコンテンツの活用を図るため、著作権の保護に配慮しつつ、著作権処理の円滑化に向けて抜本的な検討を進めます。
特に、権利処理が困難な過去のコンテンツの再利用を円滑化するための措置を早急に検討します。
アジア外交の強化
中国、韓国をはじめ、アジア諸国との信頼関係の構築に全力を挙げます。
東アジア共同体の構築を目指し、通商、金融、エネルギー、環境、災害救援、感染症対策等の分野において、アジア・太平洋地域の域内協力体制を確立します。
アジア・太平洋諸国をはじめとして、世界の国々との間で投資・労働や知的財産など、広い分野を含む経済連携協定(EPA)、自由貿易協定(FTA)の締結を積極的に推進します。
ものづくり政策の推進
わが国の製造業が国際競争力を維持していくためには、製造現場における「ものづくり力」をさらに向上させていくことが重要です。「ものづくり人材」の確保、熟練技能者の退職に伴う技能継承教育の推進、研究開発投資の促進、知的財産の利用促進などの支援を行います。
知的財産立国の実現
国際競争力の強化、科学技術の振興を図るために、知的財産権の強化に取り組みます。知的財産基本法をさらに具体化し、中小企業・ベンチャー企業に対する支援強化、知的財産紛争処理能力の強化、知的財産権に関する専門家の育成、地域をはじめとする産学の連携強化、研究開発予算の見直し、研究者の意欲向上につながる環境の整備、技術移転機関(TLO)の充実、模倣品対策や特許権侵害対策の強化を進めます。
セーフガード発動の弾力化
貿易自由化に加えて、ドーハ・ラウンドの交渉対象となったダンピング防止措置などの貿易ルールも含む幅広い分野について議論を促進し、貿易制限的な措置や知的財産権侵害が行われないよう規律強化を求めていきます。また、急激な輸入自由化等により深刻な影響をこうむる場合には、世界貿易機関(WTO)協定で認められる範囲内でセーフガードが十分に機能するよう、発動手続きの弾力化などに努めます。
ここまでが引用です。漏れがあるかもしれませんが,ざっと見たところこんな感じでした。他に技術開発や中小企業支援,起業・ベンチャー支援の項目など,知財が関連していそうなものがいくつかありますが,明確に知財に関する言葉が記載されていたのはだいたいこれくらいです。これらの政策の中で,外交の部分が今回マニフェストに取り上げられたのだと思います。
ところで,これらの政策の中でちょっと気になる記載があります。マニフェストには載っていない部分なのですが,「知的財産立国の実現」の中の「国際競争力の強化、科学技術の振興を図るために、知的財産権の強化に取り組みます。」という部分です。知的財産権の強化=国際競争力の強化、科学技術の振興なのか? この点が気になりました。
さて,今後,他の各党もマニフェストを公開していくと思います。それらの中で知的財産はどのように扱われているでしょうか? あるいは全く言及されていないかもしれません。注目しましょう。
| 固定リンク