選挙と確定申告と私的録音録画補償金制度とtwitter
選挙ではいつも,誰が当選するかよりも投票率の方が気になります。社会や国に対する関心が高い人は投票に行くはず。私は,社会や国に対する関心が高い人が多いほどよい社会・国であり,投票率が高い=国力が高いと考えています(もちろん正しく選挙が行われているということが前提)。
投票率を上げるためにはどうするか? 正確には,投票率が高い状況にするにはどうするか? 「さあみんなで投票に!」というCMをネットやテレビでやたらと流してもいいのですが,やれ行けそれ行けと尻をたたいてもなかなか人は動くものではありません。「選挙に行きたい」,「選挙に行かねば」と感じてもらう方法がよいと思います。「北風と太陽」の太陽的なやり方です。
そこで思うのが,国民全員確定申告制度です。一般的なサラリーマンの場合,所得税は給与から源泉徴収されています。だからいくら納めているのか実感しにくい。もちろん明細には書かれているのだけれど,結局毎月実感するのは手取りの額です。
しかも,年末調整で少しお金が振り込まれたりすると「ラッキー,ありがとう」と思ったりしてしまいます。納めすぎたものが戻ってきただけなのに。
実際はどうであれ,手元を行き来する現金は実感しやすく,その影響は大きいのです。
確定申告にすると,一度払われた給与から自ら税金を計算して振り込むことになります。手元のお金が減っていくというのは効果的で,税金を払っているという実感度はぐっと高くなります。払う額は源泉徴収の場合と同じなのに,気持ち的には全く変わってきます。
そんな気持ちで政治のニュース,特に税金の使われ方に関するニュースを見ると,「そんなことに使うのか」とか「その案はなかなかいい」と感じる度合いは一気に上がります。そして社会に関心を持ち,選挙に行こう!につながるのです。
確定申告の計算や手続きが大変というならば,今まで通り源泉徴収額を会社が計算してもかまいません。その上で,一度源泉徴収分も含めて全額を給与口座に振り込み,その後,各個人が源泉徴収分を税務署に振り込むようにします。これでもしっかり実感できます。現在よりも間違いなく手間がかかりますが,現在よりも間違いなく税を実感できます。
話は変わって知的録音録画補償金制度です。私たちの中にも補償金を払っている人がいるわけですが,自分がいくら払っているか知っている人は少ないと思います。私も払っていることは間違いありませんが,いくら払っているのかは知りません。
知的録音録画補償金制度については,制度の運用について長い間揉めています(関連ニュース: パテントサロン トピック 私的録音録画補償金制度)。
これらのニュースを見ていると,実際に払っているユーザ(私たち)の意見はあまり出ていないように感じます。なぜ出ていないのか? 払っていることを実感していないからだと思います。これも確定申告の場合と同じように,払っていることを実感できるようにすると,新たな進展があるように思います。
たとえば,値札をこのようにします(数字は適当。調べるのに時間がかかりそうだったから)。
CD-R 音楽用 10枚
税込 1050円
(消費税:50円)
(補償金:15円)
こうすれば,いくら補償金を払っているのか実感することができます。これを見ると,「知らないうちにこんなのとられていたんだ」とか「こんなに安くていいの?」とか「このお金どこに行っているの?」という話につながり,補償金制度に関心を持つ人が増え,そうなると政治家が動き出したり投票に行く人が増えたりする。このように考えています。
話はさらに変わってtwitterです。最近,日本でも政治家がつぶやき始めました。
日本の政治家もTwitter活用 国会を“生中継”
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0906/18/news019.html
衆議院議員 逢坂誠二 (seiji_ohsaka) on Twitter
http://twitter.com/seiji_ohsaka
はしもとがく (ga9_h) on Twitter
http://twitter.com/ga9_h
私は現時点で特に両議員を応援しているわけではないのですが(それどころか今までよく知りませんでした。失礼>両議員),政治家のつぶやきは生々しくて興味が持てます。読んでいておもしろい。政治に対する実感度が上がります。実感度が上がると投票に行きたくなる人が増えるでしょう。
現在の法律では,選挙期間中は立候補者のサイトを更新できないとかブログを書くことができないなどの制限があります。そして,この制限を無くしたりネットで投票できるようにしようという議論があります。
私は,選挙期間中もサイトを更新できた方がよいとは思いますが,できなくても十分効果的に活用できると考えています。選挙期間になって急にネットで発言しだしても,実感度は上がらないかもしれません。場合によっては嘘くさく宣伝っぽく感じてしまう。
それよりも,政治家であるならば,あるいは政治家になろうとしているのであれば,日頃から市民国民に政治や社会を実感させることの方が圧倒的に効果的だと思います。それは今すぐ今日から可能です。しかも無料で。
そんな中,残念だと思ったのは,上のニュースが出たときに,これで日本でも多くの政治家がtwitterを使い始めるだろう,と思ったのに動きがなかったことです。私が把握し切れていないだけだったらいいのですが。
投票率はもっともっと着目されるべきだと思います。国民の政治に対する関心の低下は社会や国の危機です。いろんな人がそれぞれの立場で,物事を実感してもらおうという動きをすることが大切だと考えています。
※関連エントリー
選挙と投票率と確定申告(2005/9/8)
http://cytech.way-nifty.com/blog/2005/09/post_d96d.html
選挙とネットと一次情報(2005/9/8)
http://cytech.way-nifty.com/blog/2005/09/post_c5ad.html
ネットと選挙運動(2004/6/26)
http://cytech.way-nifty.com/blog/2004/06/post_4.html
追記:
このエントリーは,今晩「Twitterと政治を考えるワークショップ」 というイベントが開催される予定で,このイベントの告知をtwitter経由で知ってこれはぜひ参加しようと思っていたところ,急ぎの仕事で油断しているうちに申し込みが殺到して一瞬で締め切られてしまって参加できなくなったので,悔し紛れに書いた次第です。ぜひどなたか会場からtsudaってください。UST中継しないかなぁ。
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