【5/20追記】「国際特許」ってできたの?
今日見つけたこのニュース。
損害保険ジャパン、損害分析システムで「国際特許」取得
http://www.nikkeibp.co.jp/news/biz08q2/571553/
損害保険ジャパンは2008年5月中に、独自開発の「損害分析システム(ダメージ・プロッティング・システム)」に関連するビジネスモデル特許で「国際特許」を取得する。(記事より)またです。これはよく間違って使われる表現です。国際特許や世界特許なんてものは存在しません。PCT出願か,あるいはいくつかの国で権利を取ったことを,国際特許とよんでいるのです。と思って記事を読んでいくとこんな記載が。
国際特許の取得には、日本・米国・欧州それぞれでの特許登録が必要。2000年に各地で出願して2006年までに日本と米国では特許を取得し、残る欧州特許庁からも2008年3月に特許の承認通知書を受領した。(記事より)えっ。この断定的な記載はなに? 日本・米国・欧州それぞれで権利を取ったら,国際特許というものの取得になるの? これは知りませんでした。
詳しい内容が記されているリンク先を見ると,弁理士のコメントが掲載されていて,その中でも「国際特許」という言葉が使われています。
ついでに損保ジャパンのサイトを見ると,関連するニュースリリースが掲載されていました。
「輸送中車両の損害分析システム」欧州で特許取得
―日・米・シンガポールをあわせ世界の主要拠点で―(PDF)
http://www.sompo-japan.co.jp/news/download/200805021400.pdf
このニュースリリースの中でも「国際特許」という言葉が使われています。ただし,国内・海外で特許を取得していくというような意味で使われています。
さて,整理します。
(1)国際特許という制度が存在する。それを私が知らないだけ。
出願公開の請求が思い浮かばなかったときと同様,
自ら知識不足を露呈している。
(2)弁理士のコメント部分も含め,記者による記述に正確さが欠けている。
(3)この整理自体も間違っている。他の正しい解釈がある。
さて,どれでしょうか?
【5月20日20:31追記】
このニュース記事に変更が加えられたようです。複数の読者の方から教えていただきました。ありがとうございます。
損害保険ジャパン 損害分析システムのビジネスモデル特許で、損保業界初の「国際特許」取得に成功
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/JIREI/20080516/301999/
※「国際特許」という言葉に正式な定義はないが、同社は、日本・米国・欧州の3極で特許が成立したことを指している。
■変更履歴ということで,このニュース記事で使われている「国際特許」という言葉は,弁理士のコメント部分も含め,日米欧で成立した特許のことを指すそうです。
・国際特許の定義について分かりづらい点があったため加筆しました
・最後から3段落目の「既存特許との類似性」に関する記述で不正確な点があったため修正しました [2008/05/19 16:00]
| 固定リンク