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2008年3月の4件の記事

2008.03.30

通夜

日曜日の夜,通夜に参加した。

亡くなったのは,株式会社リコーの知財部で働いていたときの先輩である。

彼は語学が得意で,外国出願等ではいろいろとお世話になった。

とても優しく穏やかな人だった。私がリコーを退職して独立したときには,励ましのカードを送ってくれた。必勝祈願のだるまの絵が描いてあるカードだった。

その後,彼もリコーを退職し,別の企業の知財部に転職した。そこでも海外関連の仕事を多くやっていたらしい。海外出張も多かったと聞いた。

通夜の会場には,国内の特許事務所だけではなく,米国や中国の特許事務所・法律事務所などからも,多くの供花が届いていた。

会場で数年ぶりに再会した人たちと,お互い身体を大切にしようと声を掛け合った。

享年49才。若い。とても悲しい。

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2008.03.20

悪いやつのパソコンを、金づちで壊す

「ハイテク捜査の知識はないが、明るく、楽しく、一生懸命やるだけです」と話している。
京都府警:初の女性警視誕生 ハイテク犯罪対策室長に
自身は「パソコンは素人。勉強しなくっちゃ」と苦笑するが…
京都府警女性警視、ハイテク犯罪対策室長に就任へ
ただハイテク捜査に必須のパソコンは料理のレシピ調べに使う程度で、猛勉強が必要という。「悪いやつのパソコンを、金づちで壊すわけにはいかないですからね」
京都府警ハイテク犯罪対策室長に女性警視が就任へ

必ずしもトップが技術を熟知している必要は(たぶん)ないし,この京都府警ハイテク犯罪対策室は非常に多くの注目を浴びている組織で,しかも今はダウンロード違法化や非親告罪化のような議論も行われている重要なときである。しっかり考えられた人事であるはずだ。新室長は(たぶん)すごいやり手の方なのだろう。

それはそれとして,事実として上のような発言が流れてしまうと,市民は不安や疑問を抱いてしまう。多くのブログにも表れている。

「京都府警 ハイテク」の検索結果 - Yahoo!ブログ検索

わざわざこんな不安を感じさせるような発言をする必要はない。

ところで,多くの人が不安や疑問をブログに書いている一方で,各メディアの記事を見ると,当局のコメントを載せているだけで,この点について質問したような記載は見あたらない。普通に気になると思うのだが。触れてはいけないことだったのだろうか?

もしかすると,ハイテク犯罪対策室はそれほどたいした組織ではないよ,と市民に思わせて油断させるために…,なんてことはないか。

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2008.03.11

経営者的な観点を持っているか?

「NHKスペシャル 社員みんなで会社を買った ~地方発 “EBO” の挑戦~」を観ました。

NHKスペシャル 社員みんなで会社を買った ~地方発 “EBO” の挑戦~
http://www.nhk.or.jp/special/onair/080310.html

EBOした後,ゼロからスタートした会社では,経営者と現場の技術者との間で,考え方に相違が生じます。

経営者は,他社にない高性能な製品を開発し,それが完成したら出荷するという方針を立てました。ブランドも実績もない企業が世の中に出ていくためには,他社とは違うものが必要だと主張します。出荷は計画からどんどん遅れていきました。

それに対して現場の技術者は,すでに普通の製品はできているのだから,それで進めていきたい。いま出荷できるものをなぜ出荷しないのか,と主張します。

こんな相違の中,技術者は国際展示会に参加します。そこには,より高性能化した他社の製品がありました。それを見た技術者は危機感を持ちます。このままでは会社はダメだと。そして自ら高性能な製品の開発にトライしていきます。

従業員に経営者的な観点が生まれていく過程が,よくあらわれていました。

経営者でなくても経営者的な観点を持つことはとても重要です。それは知財担当者にとってもいえることで,いま手がけている出願は会社の事業にとってどのような役割があるのか,会社の事業をうまく進めるためには何を対象にどんな調査が必要でどんなマップを作ればよいのか,そもそも会社の事業に対して知的財産はどのように役立つことができるのか,このあたりを意識するかしないかで,知財担当者の価値は大きく変わってきますし,知財担当者にとっても,仕事に対するおもしろさが変わってくると思います(大手企業の知財部門に9年間勤務し,その後独立して零細企業の経営者をやっている私の感想)。

番組は12日(水)深夜に再放送されるようです。興味がある方はぜひ。
http://www.nhk.or.jp/special/rerun/index.html


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2008.03.05

mixi規約改定とipippiにおける著作権の扱いについて

mixiの規約改定騒動ですが,ミクシィはどうしてこんなことしちゃったんでしょうね? こんな改定を突然表明したら,ユーザがどう思い,どんな行動を取るか,想像できなかったんですかね? 私は怖くてこんな大胆なことできません。本当に不思議です。何か全く別の意図があるのではないかと勘ぐりたくなるくらい不思議です。ほんとに不思議。


パテントサロンでも「知財系SNS ipippi(イピッピ)」(http://ipippi.jp/)というSNSを運営しています。ipippiにももちろん利用規約があります。

ipippi利用規約
http://ipippi.jp/normal.php?p=sns_kiyaku

この規約は,いろんなサイトを参考に私が作成したものです。弁護士などプロの人にチェックしてもらったわけではないので不備な点もあると思いますが,2006年2月26日に制定して以来,この規約で運営しています。

このipippi利用規約では,著作権に関して以下の通り定めています。

3.著作権

ユーザがipippiに書き込んだ文章,アップロードした画像などの著作権は,ユーザが保有します(利用許諾を得ていない他人の文章など,ユーザが必要な権利を持たない場合を除く)。

特に括弧書きの部分はもっとスマートな表現があるような気がしますが,とにかくここでは,「著作権はユーザが持つ」ということを明確に定めたかったのです。


ところで,例えば毎年11月に開催されている特許・情報フェア&コンファレンスなど,ipippiの会員でない人にipippiの内容を紹介したい場合があります。しかし,上記規約の下では,ユーザに許可を得ることなくユーザがipippi内で書いた日記などの文章を複製したり公開することはできません。著作権だけが理由ではありませんが,いずれにしてもSNSの内容を人に公開することはそれなりに困難です。

そこで,パテントサロンでは,ipippiとは別に「ipippiデモ版」(http://ipippidemo.jp/)を用意しました。こちらの利用規約はこの様になっています。

3.著作権

ユーザがipippiデモ版に書き込んだ文章,アップロードした画像などの著作権は,ユーザが保有します(利用許諾を得ていない他人の文章など,ユーザが必要な権利を持たない場合を除く)。また,ipippiデモ版運営者は,ipippiデモ版およびipippiデモ版に書き込まれた内容を,ユーザに承諾を得ることなく,不特定多数に公開することができます。

これも今ひとつ文章が美しくないのですが,いずれにしても,ipippiはこれらの規約の下で運営されています。


ところで,今回のmixi騒動の記事を読んで,気になる点が出てきました。

「mixi日記、無断書籍化はしない」――規約改定の意図をミクシィが説明
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0803/04/news086.html

新条項を追加した意図について、

(1)投稿された日記データなどをサーバに格納する際、データ形式や容量が改変される(ユーザーの著作者人格権《同一性保持権》を侵害する)可能性がある

(2)アクセス数が多い日記などは、データを複製して複数のサーバに格納する(ユーザーの複製権を侵害する)可能性がある

(3)日記などが他ユーザーに閲覧される場合、データが他ユーザーに送信される(ユーザーの公衆送信権を侵害する)可能性がある
(上記ページより)

特に(3)は「可能性がある」というよりも送信されるに決まっているだろ,と思いますが(間違ってる?),それはそれとして,こんなレベルのものまで想定して規約を定めなければならないとすると,ipippiでも問題なりそうな点が出てきます。

例えば,ipippiでは,ユーザが書いた日記などが記録されているデータベースについて,定期的にバックアップを取っています。つまり複製しています。これはユーザの著作権を侵害したことになるのでしょうか?

また,数ヶ月前には,ユーザ数の増加に対応するために,システムをよりパワーのあるサーバに移転しました。このときにも旧サーバから新サーバにデータの複製を行っています。これも侵害したことになるのでしょうか?

どこまで考えたらよいのか,考えなければならないのか。著作権は難しいです。

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