mixiの規約改定騒動ですが,ミクシィはどうしてこんなことしちゃったんでしょうね? こんな改定を突然表明したら,ユーザがどう思い,どんな行動を取るか,想像できなかったんですかね? 私は怖くてこんな大胆なことできません。本当に不思議です。何か全く別の意図があるのではないかと勘ぐりたくなるくらい不思議です。ほんとに不思議。
パテントサロンでも「知財系SNS ipippi(イピッピ)」(http://ipippi.jp/)というSNSを運営しています。ipippiにももちろん利用規約があります。
ipippi利用規約
http://ipippi.jp/normal.php?p=sns_kiyaku
この規約は,いろんなサイトを参考に私が作成したものです。弁護士などプロの人にチェックしてもらったわけではないので不備な点もあると思いますが,2006年2月26日に制定して以来,この規約で運営しています。
このipippi利用規約では,著作権に関して以下の通り定めています。
3.著作権
ユーザがipippiに書き込んだ文章,アップロードした画像などの著作権は,ユーザが保有します(利用許諾を得ていない他人の文章など,ユーザが必要な権利を持たない場合を除く)。
特に括弧書きの部分はもっとスマートな表現があるような気がしますが,とにかくここでは,「著作権はユーザが持つ」ということを明確に定めたかったのです。
ところで,例えば毎年11月に開催されている特許・情報フェア&コンファレンスなど,ipippiの会員でない人にipippiの内容を紹介したい場合があります。しかし,上記規約の下では,ユーザに許可を得ることなくユーザがipippi内で書いた日記などの文章を複製したり公開することはできません。著作権だけが理由ではありませんが,いずれにしてもSNSの内容を人に公開することはそれなりに困難です。
そこで,パテントサロンでは,ipippiとは別に「ipippiデモ版」(http://ipippidemo.jp/)を用意しました。こちらの利用規約はこの様になっています。
3.著作権
ユーザがipippiデモ版に書き込んだ文章,アップロードした画像などの著作権は,ユーザが保有します(利用許諾を得ていない他人の文章など,ユーザが必要な権利を持たない場合を除く)。また,ipippiデモ版運営者は,ipippiデモ版およびipippiデモ版に書き込まれた内容を,ユーザに承諾を得ることなく,不特定多数に公開することができます。
これも今ひとつ文章が美しくないのですが,いずれにしても,ipippiはこれらの規約の下で運営されています。
ところで,今回のmixi騒動の記事を読んで,気になる点が出てきました。
「mixi日記、無断書籍化はしない」――規約改定の意図をミクシィが説明
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0803/04/news086.html
新条項を追加した意図について、
(1)投稿された日記データなどをサーバに格納する際、データ形式や容量が改変される(ユーザーの著作者人格権《同一性保持権》を侵害する)可能性がある
(2)アクセス数が多い日記などは、データを複製して複数のサーバに格納する(ユーザーの複製権を侵害する)可能性がある
(3)日記などが他ユーザーに閲覧される場合、データが他ユーザーに送信される(ユーザーの公衆送信権を侵害する)可能性がある
(上記ページより)
特に(3)は「可能性がある」というよりも送信されるに決まっているだろ,と思いますが(間違ってる?),それはそれとして,こんなレベルのものまで想定して規約を定めなければならないとすると,ipippiでも問題なりそうな点が出てきます。
例えば,ipippiでは,ユーザが書いた日記などが記録されているデータベースについて,定期的にバックアップを取っています。つまり複製しています。これはユーザの著作権を侵害したことになるのでしょうか?
また,数ヶ月前には,ユーザ数の増加に対応するために,システムをよりパワーのあるサーバに移転しました。このときにも旧サーバから新サーバにデータの複製を行っています。これも侵害したことになるのでしょうか?
どこまで考えたらよいのか,考えなければならないのか。著作権は難しいです。