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2005年11月の12件の記事

2005.11.30

Web 2.0 と知財担当者

以前このブログでWeb 2.0について少し触れたことがあるのだが,その後,その記事がきっかけで何人かの方からメールをいただいた。中にはオフィスまで来られた方もいて,有意義な会話をすることもできた。しっかりアンテナを張っている人と話をするのは楽しい。

さて,先のブログでは「このWeb 2.0について知財担当者もシンクロしておく必要がある」と書いたのだが,その理由は大きく3つある。

1番目の理由は,知財担当者,特に特許担当者は,常に技術の動向を意識する必要があることだ。
Web 2.0は次のステップのネット環境であり,新しいネットビジネスの温床である。Web 2.0への変化を見逃してはいけない。というよりむしろ,見逃すともったいないと言うべきか。

2番目の理由は,Web 2.0については,知的財産権という観点からしっかり考える必要がありそうなことだ。
Web 2.0では,リミックスやマッシュアップという言葉がキーワードの1つになっている。これらは,他人が提供しているサービスを利用して新しいサービスを作成し提供するというものだ。例えば,Google mapを利用した不動産業者による不動産仲介サイトなどがすでに公開されている。
リミックス/マッシュアップして作られたサービスでは,異なる複数の企業が作成したコンテンツが組み合わさって1つの画面として表示される。著作権,商標権,特許権などの権利関係は複雑だ。
ちなみにこのリミックスとマッシュアップという言葉,もとは音楽用語で,複数の曲を混ぜて新しい曲を作ったり,複数の曲から音を取り出してそれらを組み合わせて新しい曲を作るという意味の言葉である。こちらの方でも著作権上の論争は絶えない。

また最近では,多くのサイトにGoogle AdSenseによる広告が表示されている。これもある意味,複数のコンテンツが組み合わさって1つの画面として表示されている状態だ。
従来の広告は,比較的ページビューが多い大手企業のサイトにバナーが表示されるというものだった。対象となるサイトはそれほど多くはなく,どの様に広告が表示されるかについてある程度コントロールすることができた。
これに対しGoogle AdSenseでは,ページビューが非常に少ない個人のブログサイトにも広告が表示される。対象となるサイトは莫大な数だ(ロングテール)。全てのサイトについて広告の表示状態をコントロールすることは不可能である。以前よりも権利的な問題が発生しやすいかもしれない。

さらに,Web 2.0では,多くの人によって情報が作られることがある。例えばソーシャルブックマークでは,多くのユーザが付けるTagによって,情報は分類される(フォークソノミー)。複数の人の作業によって,情報の価値が高まっているのだ。こうやってできあがったデータベースの権利関係については,明確にしておく必要がある。AmazonのレビューやWikipediaも多くの人によって作られている。権利の扱いはないがしろにできない。

Web 2.0と知的財産権は,一見非常に相性が悪い様に見える。知的財産権が技術やサービスの進歩・普及を妨げる様に感じることもある。しかし果たしてそうなのだろうか? 知財担当者としては考えずにはいられない。今までの考え方とは違う考え方が必要なのかもしれない。いずれにしても幸福な社会の実現には,知的財産の保護と利用のバランスがポイントになることには変わりはないはず。

3番目の理由は,Web 2.0の知財業務への適用が考えられることだ。
知財戦略を考えるときには,パテントマップを作ったり,パテントポートフォリオ分析を行ったりする。いずれも特許の抽出・分類作業が必要で,IPC分類を使ったりテキストマイニング技術を使ったりするわけだが,例えばこのとき,特許公報をフォークソノミーしたらどうだろうか?
また,企業内における公報チェックにソーシャルブックマークシステムを使ってみるのはどうだろう? 権利がチェックできるだけでなく,各社員のブックマークを見ることによって優秀な知財担当者を発掘することができたり,技術的仲間を見つけることができたりするかもしれない。公報チェックに対する熱心度も一目瞭然だ。知財担当者にとっては手が抜けず厳しいものになるだろうが...。
企業の中に存在する「知」をうまく引き出し,うまく並べて,効果的に使える状態にする。これこそ企業の中の知財担当者の役目のように思う。Web 2.0な技術がうまく使えそうだ。

ということで,Web 2.0について知財担当者もシンクロする必要があると考えるわけです。

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2005.11.21

知的財産Q&Aのニーズ

以前書いた生協の白石さん,有名になって本にもなってサイン会を開いたりもしたらしいですが,CMにも登場していますね。期間限定でネットでも観られるようなので,興味がある人はぜひ。

SMN、“生協の白石さん”がガンダムの質問に回答するCM映像を限定配信

「生協の白石さん」はQ&Aなわけですが,パテントサロン編集部にも質問のメールがときどき来ます。知財制度に関する質問とかこんな資料どこにあるか知りませんかとかこんな人材どこかにいませんかとか...。むかしは編集部では全てのメールについて回答していました。ときにはかなり時間をかけて調べて回答したりもしました。しかし,こうやって送った回答に対して,返事が来ることはあまりありません。「回答届きました」という返事すらないことが多い。8~9割は返事が来ませんね。これは精神的に非常に落ち込みます。怒りとかではなく,落ち込んでしまうのです。かなり参ってしまいます。

ということで現在では,いただいた質問メールに対してあまり回答を書いていません。これは大変失礼なことです。以前返事が来なかった人に対して回答しないならともかく,初めて質問メールを出す人にとっては関係のないことですから。こちらも回答しないことに対してかなりかなり心が痛い。それでも回答する気力が出ないくらい,回答への返事が来ないことに対して落ち込んでしまっているのです。

それはともかく,Q&Aに関してはニーズがありそうですね。ネット上でははてなOKWaveの活動が盛んです。質問したい人がいるのはよいとして,回答したい人も結構いるようですね。人には知っていることを教えたいという欲がある,というのをどこかで読んだことがあります。

知的財産に関するQ&Aコーナーが実現できると面白いかもしれません。Q&Aができるコミュニティーでも良いのですが。

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2005.11.20

ハウルの動く城

届いていたDVDを観ました。

ハウルの動く城

感想は,よくこんな発想ができるなとか,世界観がすごいとか。映像的にすごいという場面がいくつかあって,技術が進歩してるんだなぁ,と思いました。面白かったです。楽しめました。マイベストジブリが魔女宅であることに変化はありませんでしたが。

宮崎駿で世界観といえば,風の谷のナウシカもすごいですね。特に原作マンガ。マンガは全7巻で,映画になっているのはそのうち2巻の途中くらいまでの話です。全巻の一気読みがおすすめです(途中で休むと混乱してくる)。ワイド版がかなり安く出ていますね。

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2005.11.17

さいと & サロン

昨晩,ぱてんとさいとの管理人さんとお会いしました。場を設けてくれた弁理士らと4人で酒を飲みました。

ぱてんとさいと

ぱてんとさいとは知財系サイトの老舗のひとつで,私もパテントサロンをスタートする前から,頻繁にアクセスしていました。とてもまじめで硬派で信頼できるサイトという印象を持っています。

また,管理人さんが作成し公開している条文HTMLヘルプは非常に便利です。思い出せない条文も,検索して即座に表示できます。頻繁に行われる法改正にも対応していて,とても有効なツールです。

むかしから見ていたサイトの管理人さんに会えるなんて,とてもとても感激です。終電の時間に気づいてあわてて店を出るくらい,充実した楽しい宴でした。改めてサイトの運営に気合いが入りました。

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2005.11.16

知財系ブログリングを作りました

はてなが運営しているはてなリングに,知財系ブログリングを作りました。

知財系ブログリング

関連するブログをお持ちの方,気軽に登録してください。
ロゴはそのうち作ります。しばしお待ちを。

※関連ニュース
 はてな、ブログの新着情報や掲示板を共有できる「はてなリング」
 はてな、Blog をつなげる「はてなリング」サービス開始
 仲間同士でブログをつなぐ「はてなリング」

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使えなくなると困るのは分かるけれど

米司法省、BlackBerryの継続利用求める意見書を提出

BlackBerryのメーカーResearch in Motion(RIM)の特許訴訟に絡み、米司法省が裁判所に対し、「たとえRIMに不利な判断が言い渡された場合でも、政府職員は引き続きBlackBerryを使って電子メールを相互に送受信できるよう保証してほしい」との配慮を求めた。BlackBerryは政府職員にとって「必要不可欠」なデバイスだとしている。

BlackBerryが「必要不可欠」なデバイスであるのは,政府職員だけではない。どのくらいの人が持っているのかについて詳しい数字は知らないが,シリコンバレーで綴る弁理士日記でも触れられている様に,多くのビジネスマンが携帯している。米国で仕事をしている知り合いの弁護士は,これが無くては仕事にならない,と言っていた。

司法省の意見書,どうなんだろう? 特許権的には問題があるのだけれど困るから使えるようにしてほしい,というのは,特許制度の意義や是非にも関わってくるような問題だ。エイズ治療薬問題のように,医薬や医療の分野では,生死の問題に関わってくることさえある。そんな制度的にも法的にも大きな問題であるのに「政府職員は引き続き使えるようにしてほしい」という主張。かなり疑問を感じてしまいます。

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2005.11.15

ぷらっとほーむが閉店@秋葉原

老舗のぷらっとほーむが年末で店舗閉店、Web通販で継続

悲しい。

ぷらっとほーむは,秋葉原の巡回コース(といっても最近あまり行っていないけれど)に入っているお店。記事にもあるけれど,“本多のオヤジ”がブランドだった。オヤジの顔をモデルにしたイラストがトレードマークになっていて,初めて生オヤジを見たときに,思わず「マークの人だ!」と言ってしまったのを思い出します。

この店の品揃えはなかなか個性的で,中でも特に好きだったのが,怪しげな輸入パーツ。ヘンな形のキーボードやペン入力機器などがおいてある。この店でしか見られないものも多い。海外の怪しい雰囲気がいいんです。

もちろんちゃんとした(失礼!)商品もおいてあって,特にキーボードは充実している。Webショップのこのページを見てもわかるとおり,非常に多くの種類のものを扱っている。オリジナルも含まれている。パテントサロンで使っているキーボードのほとんどは,ぷらっとほーむで手に入れたものだ。

こんな個性的な店が無くなってしまうのはとても悲しい。ぜひWebショップはずっと続けてください(でも本当は直接触れなければあの怪しい雰囲気は味わえないのですが...)。

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2005.11.14

Google Analytics をパテントサロンに実装

Googleがまたまた……また新サービスを開始しました。

グーグル、ウェブ分析サービス「Google Analytics」を公開へ
グーグル、Web解析サービス「Google Analytics」を無償提供

早速パテントサロンに実装しました。最初のレポートは12時間後とのことなので,楽しみに待つことにします。

パテントサロンのアクセス数については,現在,「トップページのページビューは,平日1日12000~18000程度,ユニークユーザ数は4000~6000程度です(2005年7月現在)」と公表しています。具体的にはこんな感じです。

パテントサロン トップページ アクセス状況(2005年7月)

サイト全体では,トップページの2倍程度のページビューになります。

ところでこのページビュー,正確なデータを取ることはそれなりに難しいようです。パテントサロンでは現在,6~7くらいの方法でアクセス数を計測しているのですが,数字が一致することはありません。ある程度の幅で,差が出てしまいます。詳しく調べてはいないのですが,計測方法の違いにより差が出るようです。

Googleの結果,楽しみです。

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2005.11.13

みんなでニュース速報

知的財産報告書に関するページを整理しました。

★パテントサロン★ トピック 知的財産報告書

このページに掲載している情報の多くは,読者の方からお知らせいただいたものです。ありがとうございます。

毎日それなりに多くのニュース情報をチェックしていますが,知的財産報告書公開の様な情報は,とても集めにくい情報です。

報告書が公開されたことがニュースとしてどこかのニュースサイトに掲載されればそれを見つけることができるのですが,そうでない場合は,報告書公開の事実は,その企業のサイトのプレスリリースあるいはIRのページに掲載されるだけのことが多いです。全ての企業のサイトを毎日チェックすることは困難であり,現在実施していません。従って,知的財産報告書公開に関する情報は,集めにくいのです。

この様な状況なので,読者の方からの情報提供は非常にありがたく,それによって,多くの人に知的財産報告書公開の事実を知らせることができています。ありがとうございます。

ところで,これって知的財産報告書以外の情報関しても応用できるわけで,例えば,ソーシャルブックマークシステムを使って,知財に関するニュースや情報をみんなが登録し教え合う様な仕組みにすれば,より広範囲の情報を,より早く伝え,知ることができるはず。面白そうです。

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2005.11.09

弁理士試験合格発表

昨日,弁理士試験の合格発表がありました。

平成17年度弁理士試験合格発表

合格された方々,本当におめでとうございます。
これからが楽しみですね。

私の身近なところでも,2名の合格者が出ました。
とても嬉しいです。
今晩,この2人を盛大にお祝いする宴を催します。
おいしいお酒が飲めそうです。

合格されたみなさん,本当におめでとうございます。

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2005.11.01

ほしい! 本棚検索

前のエントリーで,アマゾンの「なか見!検索」について書いたけれど,
ぽちぽち遊んでいるうちに,ほしいサービスが出てきた。

「本棚検索」

自分の本棚を眺めながら,本を探すことは多い。
本棚から1冊ずつ本を取り出しては,ぱらぱらめくり探していくのだが,
なかなか見つからない。

そこで,こんなサービスはどうだろうか?
自分の蔵書を登録し,登録した蔵書を対象に
全文検索をしてくれるサービス。

「なか見!検索」機能を利用すれば,実現できそうだ。
アマゾンがオープンにしてくれればの話だが。
いろんな権利が絡みすぎて不可能か?

であれば,アマゾン自身が,
アカウント毎に,アマゾンで購入した書籍を対象に,
全文検索サービスを提供するというのはどうだろうか?

こんなサービスが実現したら,わたしは今後,
全ての書籍をアマゾンで購入するだろう。
あわせて,すでに持っている本についても,
アマゾンで買い直すかもしれない。
全頁スキャンしてOCRにかける手間を考えれば,
安いものです。

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アマゾン なか見!検索

アマゾンの新サービスが始まった。

Amazon.co.jp: 本/なか見!検索

これを使うと,例えば,
「アインシュタインが特許庁勤めていたことが書かれている本」
なんてのを,簡単に見つけることができる。
さらに該当するページの記述も見ることができる。
今までは,アインシュタインについて書かれてある本を検索し,
あとは書店でめくって探すしかなかった。

特定の書籍を対象とした検索もできるのがいい。
今自分が読んでいる本について,全文検索ができるのだ。
これは感動的。早く全ての書籍が対象になってほしい。

この検索対象拡大の動き,ますます進んでいくのだろう。
映画の台詞,音楽の歌詞…,etc.
世の中全てを一気に検索できるなんて,うきうきしちゃいます。
実現するのはやはりGoogleか?

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